2. 2月 2023

同じ価値、同じ尊厳、同じ使命―これは創造主である神様の御意志に基づくものです。しかし、古代ユダヤ教の慣行には不平等なものがありました。福音書には、学ぶ女性や女性の弟子、そのほかイエス・キリストの教えを宣べ伝えていた女性たちについて書かれています。

パレスチナは家父長制でした。新約聖書の時代、ユダヤ人女性にはほとんど何の権利もありませんでした。職業を持つ権利も、財産を持つ権利も、教育を受ける権利も、裁判で自分の権利を守るために戦う権利もなかったのです。女性は父親か夫のどちらかに従属しました。家事や母親としての義務のほかには、女性は何の役割もありませんでした。
それだけにベタニアでの出来事は、とても大きかったのです。

イエスとイエスに学ぶ者
イエス様は二人の女弟子のところを尋ねられました。マルタはイエス様を接待するのに忙しくしていた一方、「マリアは主の足元に座って、その話を聞いていた」(ルカ10:39)。このように、マリアは学ぶ者として模範的な立場を取り、イエス様の教えに耳を傾けるのですが、学びについてはパウロも言及しています(「ガマリエルのもとで〔…〕教育を受け〔…〕」使徒22:3)。

これは、当時としては極めて異例なことでした。普通のラビ〔ユダヤ教の宗教的指導者〕なら、女性を教えることに同意する人はほとんどいなかったでしょう。しかし、イエス様はこの女性を教えを説いただけでなく、教えを受けたいという彼女の願いを助長・擁護さえしたのです。「しかし、必要なことは一つだけである。マリアは良いほうを選んだ。それを取り上げてはならない」(ルカ10:42)。

イエスと伝道者
学んでいる人があっという間に伝道者に変身することもあります。シカルと言う町にあるヤコブの井戸で起きた出来事も、その一つです。その場所でイエス様は、ユダヤ亜人種の女性サマリア人に話しかけ、教えを説かれたのです。ラビと言う立場から見て、彼女は二重の意味で見苦しく好まれない存在でした。ところが彼女に声をかけたのが、よりによってイエス様ご自身だったのです。

イエス様の言われることに、女は納得しました。彼女は水がめをそこに置いて急いで町へ行って、次のように証しし宣べ伝えました。「さあ、見に来てください。私のしたことをすべて、言い当てた人がいます。もしかしたら、この方がメシアかもしれません」(ヨハ4:29)。その効果は驚くべきものでした。「『あの方は、私のしたことをすべて言い当てました』と証言した女の言葉によって、イエスを信じた。」

この宣教活動をイエス様が支持されたことは明らかです。ヨハネはさらにこう言っているからです。「イエスは、二日間そこに滞在された。そして、さらに多くの人が、イエスの言葉を聞いて信じた。」

イエスと女性の弟子たち
結局、女性たちはイエス・キリストの最も忠実な支持者であることが証明されることになります。というのは、彼女たちはイエス・キリストに寄り添い、磔(はりつけ)になった十字架の足下にまで同行したからです。そこでは男性の名前はほとんど登場しません。対して「大勢の女たちが遠くから見守っていた。イエスに仕えてガリラヤから従って来た女たちであった」(マタ27:55)。そしてそのうちの何人かは具体的に名前が挙げられています。そして最後に、十字架上で亡くなったイエスの遺体を看取ったのは女性たちでした。

しかし何よりも、イースターのメッセージ、すなわちイエス・キリストの復活を最初に伝えたのは、女性たちでした。福音書によっては、天使から(マルコ)、あるいは主ご自身から(ヨハネ)、その告知を彼女たちに委ねられたのです。「行って、きょうだいたちにガリラヤへ行くように告げなさい。そこで私に会えるだろう」(マタ28:10)。

こうしてイエス様の復活を告げ知らせたことによって、彼女たちは単なるニュースではなく、キリスト教が信仰として宣言する中心的な事柄を伝え広めたのです。そうすることによって、彼女たちは後に教会となるすべてのものの基礎を築いたのです。

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しかし、イエス・キリストは男性だけを使徒として召されました。なぜでしょうか。この疑問は、このシリーズの次の回で取り上げます。

原著: Andreas Rother
https://nac.today/en/158033/1132310→

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