2023年3月15日 0:00:00 JST
ひと握りの食べ物、十数人の疲れた男たち、食事をさせなければならない何万という空腹の人― こうした要素によって、意味のある奇跡が起こされました。それは、話すことと行うこと、分け合うことと配ること、信じることと愛することです。
「イエスは五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで祝福し、パンを裂いて、弟子たちに渡しては配らせ、二匹の魚も皆にお分けになった。」―ジャン＝ルーク・シュナイダー主使徒は、2023年1月22日にヴッパータール（ドイツ）でマルコ6章41節を基調聖句として説教を行いました。
五千人に食事をさせたお話です。このことを四つすべての福音書が伝えているということは、イエス様の生涯においてこのことが非常に重要な出来事であり、非常に重要なしるしであったことを示しています。それを二つの教訓に分けて解説します。
イエスの働き
第一に、これはイエス様が偉大な預言者であることをユダヤ人に明確に示すものでした。一人のやもめに食事を与えたエリヤや百人の男を養ったエリシャなどよりも、とにかく偉大でした。イエス様の奇跡は数万人、すなわち四千～五千人の男性に加え、女性や子供にも効果をもたらしたのです。
このことを通して、示したいことが、イエス様にはありました。イエス様がおいでになったのは、ただ福音を宣べ伝えるだけでなく、人々のために何かをするためでした。つまり「私はあなたがたの必要を知り、あなたがたを救う」ということです。そして実際、神様は、イエス・キリストを通して、救いに与るために何をすべきかを教えてくださっただけではありません。最大の役割を果たされました。すなわち、ご自身を犠牲として献げてくださったのです。
イエス様は人々にパンを与えることで、ご自分が単なる預言者や福音宣教者でなく、神であり、他の誰も与えることのできないマナをもたらす、永遠の命をもたらすお方であることを、お示しになったのです。
皆さんは「食べたもの」で生きるのではなく、「消化したもの」で生きることができます。神様の御言葉もそうです。聞いた言葉で永遠の命が得られるわけではありません。御言葉を食べて消化する、つまり、御言葉が私の中で何かを引き起こすように、御言葉を適切なものにしなければならないのです。
イエス様はすべての人にパンを与え、その場にいたすべての人の腹はみな満たされ、十二個のかごがパンくずいっぱいになりました。イエス様にはさらに示したいことがありました。「すべての人を考えると、まだたくさんの人が残されている。私はイスラエルの人々のためだけに来たのではない、私の同時代の人々のためだけに来たのではない」と言うことです。つまり「誰一人忘れていない」ということを示そうとなさったのです。
弟子たちの働き
イエス様は、一人で行動しようとすればできましたが、事前にお召しになった弟子たちに、務めを委託されました。ただ救われるためだけでなく、仕えるために召されていることを分からせるためです。私たちも、仕えるために選ばれているのです。
主は弟子たちに「自分たちのために用意した食べ物を分け与えなさい」と言われました。「あなたがたにとって奉仕とは、他の人と分け合うことである」と言うことを示そうとされたのです。これはこんにちでも同じです。皆さんには必要なものがすべて与えられています。あとはそれをきちんと分け合えば、問題解決です。
イエス様は新しいパンをお作りになりませんでした。つまり、「主イエスにとって新しいものを発明する必要はない」という意味です。主イエスの言葉、救いの道は、すべての人に有効であり、脚色する必要はありません。同じ福音です。皆さんがいただいたものを、分け合うのです。パンはすべての人のためにあり、すべての人を救うのです。
弟子たちは、パンを配る前に、塊（かたま）のパンを主に差し上げる必要がありました。パンはイエス・キリストからもたらされます。私たち自身 ― 私たちの人生や経験や考察 ― について宣べ伝えるのではありません。イエス・キリストの福音を宣べ伝えるのです。"
パンは一挙に増えたわけではありません。弟子たちは、すべてが理に適っていることを信じなければなりませんでした。パンを配り始めるうちに、奇跡は徐々に起こりました。このような信仰を、私も持ちたいと思うことがあります! とにかくやってみることです! あとはすべて主イエス次第です。
使徒たちは、それまで一生懸命働いていたので、疲れていました。そんな時に限って、イエス様は彼らにさらなる努力を要求なさいました。しかし、弟子たちにはすでに「ああ、人々は腹ぺこで、なんとかしてあげなければいけない」という隣人愛がありました。弟子たちの愛も決め手となったのです。
最後にもう一つ。イエス様は弟子たちに、百五十人単位で、緑の芝生にこしらえた食卓にお客さんたちを座らせるようお命じになりました。これは、教会の組織を表すと考えることができます。イエス・キリストが救いを与えてくださるのは確かですが、それだけではありません。教会の中で、会衆の中で、イエス様によって分け与えられるのです。
原著: Andreas Rother
https://nac.today/en/158033/1148807￫
nac.today:New Apostolic Church International
