2023年6月20日 0:00:00 JST

「キリストと共に奉仕し統治する。」「キリストに奉仕し、キリストと共に統治する。」今年の標語には、隣人に関することと、そうでないことの、二つの部分があります。三人目の人間が起こした事件は、私たちが治めなければならないものを説明しています。今回は、ある典型的な事案を、現代風に見ていきましょう。

 

カインは怒っていました。妬(ねた)みが彼をむしばんでいました。彼は顔を伏せていました。カインも弟のアベルも、神様の栄光を賛美したいと思い、供物を献げました。主はアベルの供物に好意を持たれましたが、カインの供物は受け入れられませんでした。この不公平が、創世記4章に書かれている、有名な兄弟殺しにつながります。

 

カインが弟を殺す前に、神様はカインに直接語りかけ、こう警告されました。「どうして怒るのか。どうして顔を伏せるのか。…。正しいことをしていないのなら、罪が戸口で待ち伏せている。罪はあなたを求めるが、あなたはそれを治めなければならない。」

 

しかし、この警告は望ましい効果をもたらしませんでした。神様がカインを不公平に扱い、彼の供物を拒否なさったのに、どうしてカインがその警告を真剣に受け止めなければならないのでしょうか。カインは自分の不満に対処せず、罪の道を選びました。神様を罰することはできませんし、自分自身の内面にある根本的要因を探るのも面倒、ということで、弟殺しを決めたのです。

 

 

競争はビジネスに良いこと

ライバル関係や競争行動は、家族や親類における同胞間の深い愛と同じように、人間生活の一部です。ビジネスにおける健全な競争は成長、低価格、高品質をもたらしますが、人間関係においては、聖書の例にあるように、妬みや利己主義をもたらすことがよくあります。「なぜ周りの人は自分より多くのものを持っているのだろう。」「なぜ周りの人たちは幸せなのか。」ジャン=ルーク・シュナイダー主使徒はこう述べています。「最初の反応は、他人が持っているものへの妬みなのです。」

 

多くの人にとって、他人の成功はなかなか受け入れにくいものです。せいぜい軽く扱われるか、それを無きものにしようとする場合さえあります。友愛でなく人格攻撃は、自分を隣人より大きく、より良く見せようとする試みです。

 

 

自己中心という罠にはまる

人間は元々、競争ではなく、協力的です。しかし、忘れ去られ、見落とされ、十分なものを得られず、不公平に苦しみ、独(ひと)り取り残されることを恐れるあまり、自己中心という習慣がすぐに身についてしまいます。職場における実績という圧力、目まぐるしく移り変わる時代の中で注目を集めるための争い、そして私たち自身の不安は、常に危機的な状況にある人間の姿を映し出しています。

 

その結果、自己中心を克服することはますます難しくなります。難しくなるどころか、自己中心はひどくなります。常に敗北の脅威にさらされ、攻撃的不信の風潮が生まれます。そしてそれは、カインの場合がそうであったように、他人の運命に対する無関心へとつながっていきます。「私は弟の番人でしょうか。」人間関係には、なかなか乗り越えられない壁があります。他人は非協力的だと思う人は、幸福のために自分勝手な闘争を放棄しないのです。

 

神様の御前では、自分の権利を主張するために必死に戦う必要などありません。キリストによるならば、私たちは自分の価値と同胞の価値を認めることができます。なぜなら、人間はイエス様にあって人々に奉仕する時ほど、人々にとって価値ある存在になることはないからです。

 

 

キリストによって罪を治める

神様によらなければ、悪循環を断ち切ることはできません。そして、悪い性格的特徴も、神様によって、はじめて捨てることができます。イエス様によらなければ、罪に打ち勝つことはできません。キリストに頼ることによって、はじめて安心ができるのです。神様が人となり、罪に勝利するからです。

 

しかし、罪は深刻に受け止めなければならず、そのためには罪を自覚する必要があります。罪を軽く見たり、ごまかしたりするのは逆効果です。すべての人間は一日に何度も、カインと同じように選択を迫られます。罪を真剣に受け止め、自ら向き合うか、妬みや苛立ちに駆られて罪に屈するか、という選択です。

 

イエス様の愛は人々を分裂させるのではなく、一つにします。どんな敗北の後でも、イエス様の恵みは私たちを立ち直らせ、イエス様の知恵は私たちが過ちから学べるようにしてくれます。ですから、キリストによるならば、誰もが自分の考えと行動を支配できるのです。

 

 

原著: Simon Heiniger
https://nac.today/en/158033/1153049

nac.today: New Apostolic Church International

 

 

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