2023年7月11日 19:48:00 JST

召され、聖別されても、まだ「離れて」はいませんでした。 7月14日は、近現代における使徒の歴史の節目となる記念日です。この日に何があったのか、そしてこんにちの新使徒教会にとってこの日が何を意味するのかをまとめました。ぜひお読みください。

 

「(1835年)7月14日は、近現代における使徒団設立に向かう三つの節目のうちの二つ目に当たる。」カトリック使徒教会の使徒であったトーマス・カーライルによる宣言です。彼は、使徒たちの歩みを旧約時代のイスラエル王ダビデに対する三度の油注ぎになぞらえました。一度目は預言者サムエルを通して、二度目はユダ族を通して、三度目はイスラエル全体を通しての油注ぎです(サム上16:13; サム下2:4;5:3)。カーライルは、一度目の油注ぎを使徒たちの預言的に「召されること」、二度目の油注ぎを「離れること」、そして三度目の油注ぎをまだ実現していない「遣わされること」と同一視しました。

 

 

有効性を求めて

その前史として、様々な宗派のキリスト教徒が、「改めて聖霊を注いでいただきたい」と願っていました。彼らは、病人たちが癒さされたという驚くべき知らせに、自分たちが求めていたものを見出しました。預言を研究する人々の一部は、「終わりの時」に関する聖書の約束を検証しました。例えば、政治家兼銀行家のヘンリー・ドラモンドと説教者として人気を博していたエドワード・アーヴィングが主催した「オルベリー会議」です。

 

預言者たちは、弁護士ジョン・ベイト・カーデイルをイエス・キリストの使徒と見なしました。1832(天保3)年9月以降におけるカーデイルの預言的召命は、アーヴィングの会衆をはじめ他の会衆でも認められました。同年のクリスマスに、カーデイルは使徒として初めて、二度の叙任を行いました。

 

 

預言は成就した

1832年の初めにはすでに、1835年7月14日に特別な出来事が起こることが預言されていました。最初は、キリストが再臨される日と考えられていました。その後、使徒的運動を足掛かりにして教会が組織される時と解釈されるようになりました。しかし、当時の理解では、教会が組織されるために、聖書が書かれた時代と同様、七つの教会と十二人の使徒がロンドンに必要である、とされていました。

 

しかし、当日になっても、まだ二つの教会がありませんでした。午前中にロンドンのパディントン地区と高級住宅地ウェストミンスターでの野外説教が行われた結果、それら二カ所に教会が設立されました。しかし使徒については、14日の午後になっても十一人しかいませんでした。十二人目の使徒は召命を受け入れようとしませんでした。聖書が書かれた時代、マティアが使徒に選ばれた例を参考に(使徒1:15-26)、最終的に二人の候補者の中からくじ引きで使徒が決められました。

 

 

使徒たちが指導統轄する一つの教会

すべてのしるしが実現しました。すなわち1835年7月14日の夕方、ロンドンに設立された七つの教会の天使(監督)たちが、十二名の使徒一人ひとりに按手(あんしゅ)を行いました。この行為を以て、使徒たちは今後「離れた」ことになりました。つまり、彼ら使徒たちが会衆における以前の任務から解放され、将来の任務、すなわち設立間近であった教団全体の指導統轄のために備えと祝福を受けたことを意味しました。

 

使徒たちは、教団の指導に携わるまで、集中した研究と準備の期間を設けました。これが後に、新たな十二人としてすべてのキリスト教徒たちに「送り出される」ことになりました。しかし、時期尚早でした。少なくても彼らが期待した通りにはなりませんでした。というのは使徒たちが世界中の聖職者・教役者に使徒職への服従を呼びかけた冊子「大いなる証し」はほとんど聞き入れられなかったのです。そして、使徒たちのうち二人がその活動を停止しました。

 

 

分裂

それでも、イギリスの使徒たちはキリストの花嫁を備えることに着手しました。1847(弘化4)年以降、彼らはそれぞれ割り当てられた活動地域で、受洗したキリスト教徒に御霊の証印を授けました。人数の面で、特に北ドイツで活動した使徒カーライルが成功を収めました。十二使徒の数を回復に尽力したのは彼でした。しかし、彼は使徒学会で使徒の人数を巡る自己主張を展開することはできませんでした。

 

1855(安政2)年に亡くなった使徒カーライルの働きを受け継いで、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て最終的に新使徒教会が誕生しました。ですから、1835(天保6)年7月14日は新使徒教会にとっても特別な意味があります。新使徒教会付設の歴史作業部会は次のように解説しています。「新使徒的教会は、自らをカトリック使徒教会の継承であると見なしている。両教会は、その組織や礼拝形式において大きく異なっていても、使徒の活動が主の花嫁の準備に不可欠なものであるという信条が存在する点で深く結びついている。」

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カトリック使徒教会については、ウィキペディアなどを参照してください。

 

原著: Andreas Rother
https://nac.today/en/157547/1184760→

nac.today: New Apostolic Church International

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