3.4.9.3 最高法院に出廷したイエス

最高法院はイエスを冒涜(ぼうとく)の罪を犯したと判断し、死刑を言い渡した(レビ24:16)。御自分が神の御子であると主張したことが、冒涜と解釈されたのである。

 

イエスが最高法院で尋問を受けている頃、ペトロは、イエスを知っていることやイエスの弟子であることを否定した(ルカ22:54-62)。ペトロがイエスを否定したことは、イエスにさらなる苦痛を与えることとなった。

 

イエスに死刑が言い渡された後、イスカリオテのユダはイエスに対する背信行為を後悔し、祭司長らから受け取った銀貨三十枚を返そうとした。「「わたしは罪のない人の血を売り渡し、罪を犯しました」(マタ27:1-5)。ところが銀貨の受け取りを拒否されたため、ユダはそれを神殿に投げ入れ、自分は首つり自殺を図った。ユダのこうした言動から、キリストを死なせようと望んでいたわけではないと思われる。ユダの背信行為は聖書の預言が成就した形だが(マタ27:9-10;エレ32:9;ゼカ11:12-13)、だからといってユダに対する責任が免除されるわけではない。