11.2.3 中世ヨーロッパのキリスト教を巡る様々な状況

教会の高僧たちは世俗の権力を得ることに専心し、福音から離れて行ったため、キリスト教会全体が世俗化し、倫理の低下が蔓延した。一方で教会を改革しようとする取り組みをする人たちも増えていった。真理を探究しようとしていた人たちの中には、理性的な知識によって神に奉仕しようとした人たちや(スコラ哲学)、神が近くにおられることを直接体験することによる神秘主義によって神に奉仕しようとした人たちがいた。

 

フランスの商人ピエール・ヴァルドー(1140-1218?)や、イギリスの神学者ジョン・ウィクリフ(1320-1384)、プラハ大学の学長ヤン・フス(1369頃-1415)といった人たちは、教会の世俗化を一貫して批判した。彼らは宗教改革の先駆的運動を起こし、これを支持した。そしてこの運動がヨーロッパの大部分に波及し、ついには宗教改革へと繋がったのである。