5.3.5.3 パウロ書簡に見る第四の戒め

パウロ書簡では殊更 (ことさら) に第四の戒めを取り上げている。子供に対して自分の両親に従いなさい、と説いている(エフェ6:1-3;コロ3:20)。子供が自分の父母に従わないことは、いわゆる「悪徳」の一つとされる(ロマ1:30;二テモ3:2)。一方、父親に対しては自分の子への思いやりを諭 (さと) し(エフェ6:4)、母親に対しては自分の子を愛しなさいと諭している(テト2:4)。ここでは第四の戒めによって生じる、子の果たすべき義務に加えて、両親が子のために果たすべき義務も明らかにしている。