用語集

 

アロンの祝福(祝祷)

「アロン」—初代大祭司の名より。 三部に分かれている祝祷の言葉は民数記6:24-26。

 

位格

「設立」「本質」を表すギリシア語より。天来のものが具現化されること。こんにちでは三位一体の神における「位格」、すなわち父(第一位格)、御子(第二位格)、聖霊(第三位格)の三位格を表す。

 

位格的結合の教え

イエス・キリストが真の神であり真の人であるという教え。これは聖書に由来する教えであり、初期教会で用いられた諸信条にも明記されている。キリスト両性論としても知られる。

 

生まれながらの罪

アダムとエバが罪に堕ちたために、すべての人類は生来、神から遠く引き離された状態になっているという教え(ローマ5:12-21参照)。人類は元々罪深い性質であるため、罪を犯しやすく、欲も深くなりがちで、必然的に神から離れてしまう。しかしこうした状態はバプテスマによって解消することができる。


化体

主の晩餐が行われる中で、パンとぶどう酒がイエス・キリストの体と血に変化する、というカトリック教会の考え方。


カノン

ギリシア語kκανων、ラテン語canon「基準」「指針」より。こんにちにおいては、旧約及び新約聖書の正典をいう。


感謝の祈り

神の恵みやキリストの犠牲に感謝を捧げる祈り。礼拝の司式者が罪の赦しを宣言した後で行われる。ギリシア語ευχαριστιών(「感謝を捧げる」)に由来。


啓示

神が御自身(性質、本質、御旨など)を人に知らしめること。神が御自身を示された例としては、天地創造、歴史における仲介、御子の派遣が挙げられる。神は御自分が三位一体であること、すなわち父、御子、御霊なる神であることをお示しになる。
 

啓蒙思想

18世紀にヨーロッパから広まった思想。理性による思考の普遍性を唱える考え方。専ら人間の理性が基本とされたことにより、信仰を是とする宗教の価値が低くされた。

 

救世主

→メシア

 

顕在化

ラテン語accidere「生じる」より。「顕在化」とは、見える形で表されることをいう。例えば、聖餐を行う際に、ウエハースは聖餐の一部として顕在化されたものである。

 

公会議

一般的には、第1ニカイア公会議(325年)、第1コンスタンティノポリス公会議(381年)、カルゲドン公会議(451年)など、紀元325年から787年にかけて、主教が一同に会し、7度にわたって行われたキリスト教の宗教会議をいう。

 

降霊術

古代ギリシア語「ネクロスνεκρός (「死体」)」 及び「マンテアμαντεία (「預言」「占い」)」より。死者の霊を呼び出したりやりとりを行ったりする、神から禁止されている行為。

 

告白

ラテン語「コンフェッシオconfessio(「公言」)」より。信条を自分のものとすること。教会員(元々はキリスト教宗派の会員)になること。


強欲

ラテン語「コンクピシェレconcupiscere(「強欲」「切望」「訴求」)」より。人が罪を犯す性質であることを表す宗教用語。


史実性

聖書の登場人物や聖書に書かれている出来事が世界史として認められている事実にも根ざしているということ。

 

実在

イエス・キリストの体と血が聖餐を通して (霊的存在に対して) 実体として存在しているという教え。

 

使徒継承性、使徒的

キリストの教会であることを示す四つの特徴(「ノタエ・エクレズィアエnotae ecclesiae」)の一つ。使徒に関する教義があるということと、使徒が活動しているという、二つの面を持つ。

 

宗派

ラテン語「デノミネーシオdenominatio(「識別」「名称」)より。宗教集団を客観的に表すのに用いられる用語。

 

終末論

物事の終わりに関する教義。人それぞれの未来を意味する場合もあれば、この世の歴史の終わりを表す場合もある。


頌栄

神の栄光を称えること。例えば、主の祈りにおける最後の言葉である「国と力と栄えとは…。」は頌栄と位置づけられている。

 

贖罪

ラテン語「プロピリィアーレpropitiāre (「なだめる」)」より。神の寵愛を失ったり神に喜ばれないような事態になったりしないように、神格者をなだめる行為。キリスト教においては、罪のないイエスが十字架上で犠牲となられたことにより、神の怒りを御自身が人類の代わりに背負われたのである (ヘブライ2: 14-18参照)。


救い

    -のための活動

 -救いの働き。救うための行動。人類を救うために人類に対して行われる神の御業をいう。
 

    -のもたらす効果

 -例えばサクラメントによってもたらされる救いの効果。

 

    -の持つ力

 --救いをもたらす力; 救うための能力もしくは手段。サクラメントや御言葉に包含する、神による救いの力。

 

救いの歴史

過去、現在、未来にわたって神が人類に対して救いを働きかけてこられた経過。この世における人間の歴史経過ではなく、人間の歴史における神の働きを扱う。


世界教会協議会(WCC)

世界最大規模のキリスト教会連合。1948年にアムステルダムで設立され、ジュネーブに本部がある。現在、およそ340のカトリック諸教会、聖公会、改革派、その他自由教会が加盟しているが、ローマカトリック教会は加盟していない。

 

聖餐の祈り

→感謝の祈り

 

先在

キリストは、時が始まる前も、時が刻まれている間も、永遠に存在しておられること。

 

創造主

万物は父、御子、御霊なる神の共同作業で行われたことから、三位一体の神が創造主である。


対型

新ジェームズ訳英語聖書における、ペトロの手紙一3章21節の言葉antitypeより。ここでは、洗礼が手本あるいは予示であることを表している。


第一の幻

天から与えられる召命に関連する最初の幻。例えばイザヤは預言者として召された時に、第一の幻を見る(イザヤ6:1-8)。


大歓喜

イエスが再臨され、花嫁を御許に引き上げられる時をいう。この時、この世にいるキリストの花嫁の会衆も、そしてキリストによって死んだ者たちも、共に神の御許に引き上げられることになる(例えばテサロニケⅠ4:15-17を参照)。

 

チャネリング

霊(しばしば死者の霊と称されるもの)とのやりとりや霊に導いてもらおうとするために、霊媒を通して「霊の導き」に心を委ねること。


超越

神の性質となり、物的被造物とは全く異なり、それをはるかに超越した状態になること。この世とまったく異なり、物的被造物としての制約がなく、永遠的な存在となること。

 

ディダケー

紀元100年頃にシリアで発行された文書の名称。キリスト教会がどのようにして組織されていくようすを綴った最古のもの。


人間性

人であること。人類だけでなく三位一体の神におけるそれぞれの位格にも用いられる。


(キリストの姿勢としての)卑下

神の御子が自らを卑下し、謙虚にふるまわれたこと(フィリピ2:5-11参照)。御子は人類を救うため、神の御手による栄光をお捨てになり、「自分を無にして」、自らを低くされ(卑下され)、「僕の身分」(奴隷のこと)になられた。こうした謙虚な姿勢は、御子がお生まれになった時からすでに見られる(馬小屋の飼い葉桶の中でお生まれになった)。それにも関わらず御子は犯罪者扱いをされ、むち打たれ、あざ笑われ、つばをかけられ、とげの冠をかぶせられるなどの仕打ちを受けた。それでも御子は死に至るまで謙虚に神に従順であり続けた。

 

弁護者

ギリシア語「パラクレートスΠαράκλητος(「助けるために召された者」)」より。ヨハネによる福音書では、聖霊を弁護者と呼んでいる(ヨハネ14:16,26;15:26参照)。聖霊は援護者であり、仲介者であり、助け主、慰め主でもある。

 

ペトロの職位

シモン・ペトロがイエス・キリストから賜った特別な職位。キリストはペトロを岩に喩えて、その岩の上に御自身の教会を建てる、と仰せになった。加えてこの特別な職位には、権限として、天の国の鍵(つないだり解いたりする権限)が与えられている(マタイ16:18-19参照)。新使徒教会におけるこの職位は、主使徒が担う。

 

マニフィカト

聖母マリア賛歌。ルカによる福音書1章46-55節に書かれている。マニフィカトとは、この部分のラテン語訳冒頭部分である“Magnificat anima mea Dominum”(「わたしの魂は主を崇(あが)め」)から取られたもの。

 

御子なる神

主イエスが神の御子であること。イエス・キリストが神の御子であるという事実。

 

メシア

ナザレのイエスがメシア――神から遣わされた贖い主――であるということ。

 

ユーカリスト

→感謝の祈り



両体共存

聖餐の聖別を行う中で、キリストの体と血の本質が、パンとぶどう酒の本質に共存するという教義。


ロギア

「主の語録」イエス・キリストの語録を意味する専門用語。


ロゴス

ギリシア語の「言葉」を表すλόγος より。ヨハネによる福音書の冒頭に「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」と書かれている通り(ヨハネ1:1)、イエス・キリストという形で御子なる神の顕現化したのがロゴスである。つまりキリストがロゴスである。位格としてのキリスト御自身が、永遠の神の言葉である。