1 神の啓示
3 神は自然界において、どのようにして御自身を啓示されますか。
4 歴史を通じて、神はどのようにして御自身を啓示されますか。
10 神の啓示への対応として、信仰という考え方を持つことによって、どのようなことが理解できますか。
14 聖書の文言は、信頼できる方法で受け継がれてきたのですか。
19 旧約聖書に含まれている諸書巻はどのような構成になっていますか。またそれらはどのような順序で並んでいますか。
21 外典は、新使徒教会にとってどのような価値がありますか。
22 新約聖書に含まれている諸書巻はどのような構成になっていますか。またそれらはどのような順序で並んでいますか。
23 新使徒教会にとって、聖書はどれほどの重要性がありますか。
25 「イエス・キリストは聖書の中心である」とはどういうことですか。
27 聖書を勉強することによって、信仰を強めるためには、どうすべきですか。
私たちにとって信念の源は、神御自身にあります。神は人々に、御自身の存在を認識できるようにされます。つまり神は御自身を「啓示(けいじ)」されるということです。
神が存在するということを、神御自身がわからせて下さったのです。神は御自身の存在を隠すのではなく、むしろ御自身の存在を悟らせることによって、人々が御自分について語ったり、神を信じたりできるようにして下さいます。
「なぜなら、神について知りうる事柄は、彼ら[人類」にも明らかだからです。神がそれを示されたのです。世界が造られたときから、目に見えない神の性質、つまり神の永遠の力と神性は被造物に現れており、これを通じて神を知ることができます。従って、彼らには弁解の余地がありません。」 ロマ1: 19-20
様々な方法で、自然界において、歴史を通じて、御自身を啓示されます。
3 神は自然界において、どのようにして御自身を啓示されますか。
神は、創造主として自然界において御自身を示されます。つまり、宇宙、人間、動植物の存在を通じて御自身を啓示されます。
「主は天上の宮から山々に水を注ぎ/御業の実りをもって地を満たされる。家畜のためには牧草を茂らせ/地から糧を引き出そうと働く人間のために/さまざまな草木を生えさせられる。」詩104: 13-14
4 歴史を通じて、神はどのようにして御自身を啓示されますか。
神は、人類の歴史を通じて、御自身を啓示されます。例えば、エジプトで奴隷となっていたイスラエルの人々を、そこから導いて救出し、彼らに十戒をお与えになりました。歴史を通じて最もすばらしい方法で神が示されたのは、イエス・キリストという人としておいでになり、この世で活動をされたことです。キリストは二千年前に実際にこの世におられました。イエス・キリストによって、贖い主として、御自身を啓示されたのです。
「しかし、時が滿ちると、神は、その御子を女から、しかも律法の下に生まれた者としてお遣わしになりました。」 ガラ4:4
神は霊的存在です。
- 被造物を創造し、それを維持される、父なる神です(創1章;8:21-22参照)。
- 贖いと救いをもたらす、御子なる神です(一ヨハ5:20参照)。
- 慰めを与え、弁護し、あらゆる真理に導く、聖霊なる神です(ヨハ16:13参照)。
「神の啓示」という表現には様々な意味があります。
- 神は御自分の存在がわかるようにして下さいます。御自身の存在や本質がわかるような洞察力をお与えになります(神の「自己啓示」)。
- 神は人類に御旨がわかるようにして下さいます。
- 神は、特に御言葉やサクラメントを通じて、愛をもって人と接して下さいます。
はい。神は未来についていくつかのことを啓示しておられます。神はイエス・キリストがもう一度おいでになることを約束されました(ヨハ14:3参照)。キリストが再臨される時に変貌して天に引き上げられる者たちに対して、神は完全な姿で御自身をお示しになります(一テサ4:13-18参照)。そしてその者たちは、キリストに似た者になります(一ヨハ3:1-2参照)。
「御父がどれほどわたしたちを愛してくださるか、考えなさい。それは、わたしたちが神の子と呼ばれるほどで、事実また、そのとおりです。世がわたしたちを知らないのは、御父を知らなかったからです。愛する者たち、わたしたちは、今既(すで)に神の子ですが、自分がどのようになるかは、まだ示されていません。しかし、御子が現れるとき、御子に似た者となるということを知っています。なぜなら、そのとき御子をありのままに見るからです。」 一ヨハ3: 1-2
はい。昔も今も使徒職を通じて聖霊が活動することによって、神は人類を救うための働きに関する知恵と悟りを与えて下さいます。その知恵や悟りは、聖書に記述されており、聖霊によってさらにはっきりとわかります。
神とその啓示を信じることが必要です。信仰によってのみ、天来の啓示がわかります。信じるならば、天来の事物は貴重となり、生き方を決定づけるでしょう。
例えば、神が創造主であることを信じない人は、宇宙が創造主なる神の自己啓示によるものと考えず、自然界で偶然に発生した結果であると考えます。
10 神の啓示への対応として、信仰という考え方を持つことによって、どのようなことが理解できますか。
信仰は神に近づくために不可欠なものですが、人が自力で信仰を持つことはできません。信仰とは、人類に対する神の恵みの行為です。言い換えれば、賜物なのです。この賜物を人は強く望んでいただくのです。信仰によって、人は神を知り、神を信頼し、神の御旨に従って生きることができます。
信仰: 問239→以降を参照
「信仰とは、望んでいる事柄を確信し、見えない事実を確認することです。」 ヘブ11: 1
「信仰がなければ、神に喜ばれることはできません。神に近づく者は、神が存在しておられること、また、神は御自分を求める者たちに報いてくださる方であることを、信じていなければならないからです。」ヘブ 11: 6
信仰は聖霊によって与えられ、強められます。このことは、何よりも聖書を土台とした福音の宣教を通じてもたらされます。
聖書とは、神の働き、約束、戒めについて書き留めたものの集まりです。旧約聖書と新約聖書があります。聖書は神の啓示を証ししているものの、神のなさったことをすべて完全かつ包括的に網羅しているわけではありません。神は、人類の救いにとって大切な事柄が保持されるように配慮をしておられます。
「聖書」を意味する英語であるバイブルbibleは、ラテン語で「書物、巻物」を意味するビブリアbibliaが語源です。
聖書の著者は神です。聖書を著(あらわ)す目的で、聖霊が人を鼓舞(こぶ)し[インスピレーション]、鼓舞された人が神によって啓示された事柄を書き留めたのです。聖書にあるそれぞれの書巻は、表現形式が様々であることから、著者の世界観や著者の生きた時代に受けた体験によって、様々な特徴があります。
「鼓舞(インスピレーション)」という用語には『促(うなが)す』『かき立てる』『息が吸われる』という意味があります。天からの鼓舞とは、人に何かをさせるように聖霊が促す、もしくは、人に何かを与える、ということです。
14 聖書の文言は、信頼できる方法で受け継がれてきたのですか。
はい。神は、数百年にわたって聖書の文言の意味が歪(ゆが)められないように、配慮して下さいました。
聖書として扱われる書巻は、数世紀にわたって集められました。この作業が行われたのは、人々による検討だけでなく、神の御旨によるものでもありました。
キリスト教における旧約聖書正典は、ユダヤ教のヘブライ語正典を基本としています。これは約一千年をかけて成立したと考えられています。
新約聖書正典は、四福音書、使徒の言行録、使徒書簡、そして日本語聖書ではヨハネの黙示録と言われている預言書で構成されています。初代教会で初めて書巻として認められたのは、パウロ書簡です。四福音書については、マルコによる福音書が最も早く書かれ、その他はその後に書かれました。新約聖書は約七十年あまりをかけて成立しました。
キリスト教の信仰に関するこのような最初の記録を保護し受け継いでいくために、これらの書巻は様々な宗教会議[シノド]を経る中で、最終的に「正典」として認められた書巻集としてまとめられました。
宗教の教えを定めている書巻が集められたものを『カノン』といいます。キリスト教において、カノンには、旧約聖書と新約聖書があります。
『シノド』という用語は、ギリシア語の集まりや集会を意味するシノドスを語源としています。シノドとは、拘束力のある決定を下す権限を有する聖職者団体が開く会合とされています。
聖書は大まかに二つの部分に分けられます。一つは、キリスト降誕以前までの時代を扱う、旧約聖書で、もう一つは、キリスト降誕の時代以降を扱う、新約聖書です。
旧約聖書には、天地が創造されていく様子や最初の人に関する事柄を生き生きと描いている箇所があります。さらに、イスラエルの人々の始まりと彼らの歴史について記述されています。そして神を賛美する歌があり、人類への説諭や約束を綴った箇所もあります。
四福音書と使徒言行録では、イエス・キリスト、使徒たち、初期のキリストの教会に関する事柄が書かれています。さらに、教会や個人宛に使徒たちが書いた手紙があります。ヨハネの黙示録は、新約聖書唯一の預言書で、イエス・キリストの再臨や未来に起こる事柄についてまとめられています。
19 旧約聖書に含まれている諸書巻はどのような構成になっていますか。またそれらはどのような順序で並んでいますか。
旧約聖書は、17巻の歴史書、5巻の教義書、17巻の預言書で構成されています。
17巻の歴史書は以下の通りです:
- モーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、 民数記、申命記)
- ヨシュア記
- 士師記
- ルツ記
- サムエル記上・下
- 列王記上・下
- 歴代誌上・下
- エズラ記
- ネヘミヤ記
- エステル記
5巻の教義書は以下の通りです:
- ヨブ記
- 詩編
- 箴言
- コヘレトの言葉
- 雅歌
17巻の預言書は以下の通りです:
- イザヤ書
- エレミヤ書
- 哀歌
- エゼキエル書
- ダニエル書
- ホセア書
- ヨエル書
- アモス書
- オバデヤ書
- ヨナ書
- ミカ書
- ナホム書
- ハバクク書
- ゼファニヤ書
- ハガイ書
- ゼカリヤ書
- マラキ書
16巻の外典があります:
- トビト記
- ユディト記
- エステル記(ギリシア語)
- マカバイ記一・二・三
- 知恵の書
- シラ書(集会の書)
- バルク書
- エレミヤの手紙
- ダニエル書補遺 アザルヤの祈りと三人の若者の賛歌
- ダニエル書補遺 スザンナ
- ニエル書補遺 ベルと竜
- エズラ記(ギリシア語)
- エズラ記(ラテン語)
- マナセの祈り
『外典』を意味する英語の『アポクリファ』とは、ギリシア語で「隠された、闇の」を意味するアポクリフォスに由来します。この『外典』は、すべての聖書に収められているわけではありません。外典は、旧約聖書と新約聖書とを密接に結びつけています。外典には、新約聖書を理解するために信仰に関する重要な事柄が収められています。
22 新約聖書に含まれている諸書巻はどのような構成になっていますか。またそれらはどのような順序で並んでいますか。
新約聖書は、5巻の歴史書、21巻の教義書、1巻の預言書で構成されています。
5巻の歴史書は以下の通りです:
- マタイによる福音書
- マルコによる福音書
- ルカによる福音書
- ヨハネによる福音書
- 使徒言行録
21巻の教義書は以下の通りです:
- ローマの信徒への手紙
- コリントの信徒への手紙一・二
- ガラテヤの信徒への手紙
- エフェソの信徒への手紙
- フィリピの信徒への手紙
- コロサイの信徒への手紙
- テサロニケの信徒への手紙一・二
- テモテへの手紙一・二
- テトスへの手紙
- フィレモンへの手紙
- ヘブライ人への手紙
- ヤコブの手紙
- ペトロの手紙一・二
- ヨハネの手紙一・二・三
- ユダの手紙
1巻の預言書とは以下の通りです:
- ヨハネの黙示録
23 新使徒教会にとって、聖書はどれほどの重要性がありますか。
聖書は、新使徒教会の教義の土台を成すものです。聖句は、礼拝で話される説教の基礎です。
聖書を正しく理解することは、聖霊の働きがあって、はじめて可能となります。教義と信仰実践のために聖書を解釈することは、イエスの使徒たちに託された務めの一つです。
「こういうわけですから、人はわたしたちをキリストに仕える者、神の秘められた計画をゆだねられた管理者と考えるべきです。」一コリ 4: 1
25 「イエス・キリストは聖書の中心である」とはどういうことですか。
聖書の中心的要素は、イエス・キリストです。これを「イエス・キリストは聖書の中心である」と言います。ですから旧約聖書も、イエス・キリストを基本として解釈しなければなりません。旧約聖書の預言書は、メシアの来臨を預言し、それに至る道を備えます。新約聖書は、現在と未来におけるイエスの働きを伝えています。
メシア: 問112→を参照
信徒の生活において、聖書は非常に大きな意味があります。聖書によって、安らぎを得、教化され、進むべき方向が示され、諭(さと)され、知恵と信仰が深められるからです。
27 聖書を勉強することによって、信仰を強めるためには、どうすべきですか。
聖書を勉強して信仰を強めるためには、神を畏(おそ)れ、聖書が正しく理解できるように真剣に祈るべきです。
信徒は、お一人の神 ― 父、御子、聖霊 ― を信じます。イエス・キリストによって、三位一体の神を信じることが可能となりました。
御子であるイエス・キリストは、人類が信じるべき天の父について述べておられます。父なる神は、折に触れて、イエス・キリストが御自分の御子であることを証ししておられます(ルカ3:22;9:35参照)。
最後に、イエス・キリストは聖霊が弁護者として、聖霊がおいでになることを約束されました。
「彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け<…>」 マタ 28: 19
「しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。」 ヨハ 14: 26