29 信条とは何ですか。

 

信条とは、宗教が持つ教義の根本的事項をまとめたものです。教派が公(おおやけ)にしているすべての事柄が、この信条の中に含まれています。


信条によって、その教派の特色を知ることができます。
 

30 聖書に書かれている信条もありますか。


はい。旧約聖書にも、信仰における共通の信念が書き記されています。その一つに次のようなものがあります、「聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である」(申6:4)。「聞け、イスラエルよ!」で始まるこの告白文を、イスラエルの人々は共通して唱えました。これにより、周辺諸国が様々な神々を崇拝していた中で、自分たちは唯一の神を信じているということを、証ししたのです。


新約聖書には、神がイエス・キリストを通じて救いを与えて下さることを告白する文言があります。


新約聖書における信条文の例としては次のものがあります:

  • 「イエスは主である」 (ロマ10:9)
  • 「マラナ・タ」(一コリ16:22)=「主よ、来て下さい。」
  • 「本当に主は復活して…」(ルカ24:34)。

「口でイエスは主であると公(おおやけ)に言い表し、心で神がイエスを死者の中から復活させられたと信じるなら、あなたは救われるからです。実に、人は心で信じて義とされ、口で公に言い表して救われるのです。 」ロマ 10:9-10

31 最初のキリスト教信条はどのようにしてできたのですか。


最初のキリスト教信条は「初代教会の信条文」と呼ばれています。これが出されたのは紀元2世紀と4世紀です。この時期に、神の三位一体性とイエス・キリストの本質に関する教義が定められました。


こうした教義が定められたことは重要でした。というのは信仰をめぐって様々な論争が起きていたためです。その一例として、イエス・キリストは実際、十字架で死んでおらず、復活もしていない、という考え方がありました。信条には、こうした異端の考え方から区別する役割があったのです。

32 どのような文言が、キリスト教の信条となりましたか。


神の本質や働きを記した文言の中で、信条として採用するかどうかを決める要素となったのは、キリストとその使徒たちの教えに合致しているかどうかでした。

33 初代教会の信条文の中で、最も重要な信条は何ですか。


使徒信条とニカイア・コンスタンティノポリス信条の二つです。


使徒信条の基本的特徴としては、紀元2世紀に編集され、4世紀に若干の補足が加えられたことです。ニカイア・コンスタンティノポリス信条は、紀元325年に開かれたニカイア宗教会議と381年に開かれたコンスタンティノポリス宗教会議で決議された内容です。ニカイア・コンスタンティノポリス信条の主な目的は、神が三位一体であることを公式に表明することでした。

宗教会議<公会議>とは、信仰に関する重要な問題について話し合うために、その宗教の権威者が招集されて行われる会議を意味します。

34 使徒信条の文言とは、どのようなものですか。


「天地の造り主、全能の父である神を私は信じます。そのひとり子、私たちの主イエス・キリストを、私は信じます。主は聖霊によって宿り(やど)り、おとめマリアから生まれ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死んで葬られ、陰府(よみ)に下り、三日目に死人のうちから復活し、天に昇られました。そして全能の父なる神の右に座し、そこから来て、生きている人と死んだ人とを裁かれます。聖霊を私は信じます。また、聖なる公同の教会、聖なる者たちの交わり、罪の赦し、からだの復活、永遠の命を信じます。アーメン。」

「公同(こうどう)」という語は、ギリシア語で「包括的」「普遍的」を意味するカトリコスに由来しています。使徒信条もニカイア・コンスタンティノポリス信条も、特定のある教会ではなく、キリストの教会全般について述べています。

35 ニカイア・コンスタンティノポリス信条の文言とは、どのようなものですか。


「私たちは、唯一の神、全能の御父、天地とすべての見えるものと見えないものの造り主を信じます。また、万世(ばんせ)の前に父から唯一生まれた御子、唯一の主、イエス・キリストを信じます。主は光よりの光、神よりの神、生まれ、造られず、御父と一体であります。すべてのものは主によって造られました。主は私たち人類のため、また私たちを救うために天から降り、聖霊によっておとめマリアからからだを受け、人となり、ポンテオ・ピラトのもとで、私たちのために十字架につけられ、苦しみを受け、死んで葬られ、聖書にある通り三日目によみがえり、天に昇り、父の右に座しておられます。また主は未来において、生きている人と死んだ人とを裁くため、栄光のうちに再び来られます。その国は終わることがありません。また、主なる聖霊を信じます。聖霊は命の与え主、父と子から出られ、父と子とともに崇(あが)められ、称(たた)えられ、預言者によって語られた主です。また私たちは、唯一の、聖なる、公同の、使徒的教会を信じます。罪の赦しのための唯一の洗礼を信認し、死者のよみがえりと来世の命を待ち望みます。アーメン。」

36 初代教会の信条文が新使徒教会にもたらした意義は何ですか。


新使徒教会の教義は、聖書に基づいています。初代教会の信条文には、聖書で証ししている重要な事柄がまとめられています。


新使徒教会が告白しているのは、神が三位一体であること、イエス・キリストが真の神であり真の人であること、イエスが処女マリアからお生まれになったこと、聖霊が遣わされていること、教会、サクラメント、キリスト再臨を待望すること、死者の復活であります。これらは、使徒信条及びニカイア・コンスタンティノポリス信条でも定められています。


この二つの信条は、諸教派間で相違があるものの、キリスト教において守られるべき基本要目です。

『告白』という表現は「信条」または「所属教会」を意味することがあります。他のキリスト教諸教派を「別の告白をする教派」と言うこともあります。

37 新使徒信条の文言とは、どのようなものですか。


「私は、天地の創り主、全能の父である神を信じます。


私は、神の唯一の御子、私たちの主イエス・キリストを信じます。主は聖霊によって宿り、おとめマリアから生まれ、ポンテオ・ピラトのもとに苦しみを受け、十字架につけられ、死んで葬られ、陰府に下り、三日目に死人のうちから蘇り、天に昇られたことを信じます。そして全能の父である神の右に座し、そこから再びおいでになります。


私は、聖霊と、唯一で聖なる公同の使徒的教会と、聖徒の交わりと、罪の赦しと、死者の復活と、永遠の命とを信じます。


私は、主イエスが御自身の教会をお治めになること、そのために使徒をお遣わしになったことを信じます。そして御自身が再びおいでになるまで、教え、イエスの御名によって罪を赦し、水と聖霊とによるバプテスマを授ける職務を、使徒にお委ねになったことを信じます。


私は、神によって定められた教役者が使徒によってのみ叙任されること、教役者に与えられる権能、祝福、聖別は使徒職からもたらされることを信じます。
私は、水のバプテスマが聖霊による人の新生に至る第一段階であること、水のバプテスマを受けた者が、イエス・キリストを信じイエス・キリストが主であることを公(おおやけ)に宣べ伝える者たちの仲間に加わることを信じます。


私は、キリストが完全に有効な犠牲としてただ一度捧げられ、断腸の苦しみを受けた末に死なれたことを記念して、キリスト御自身により聖餐が制定されたことを信じます。聖餐にふさわしく与ることにより、私たちの主であられるイエス・キリストとの交わりが築かれます。聖餐は、種入れぬパンとぶどう酒によって、執(と)り行われます。このパンとぶどう酒は、必ず使徒から任職を受けた教役者が聖別して、これを施(ほどこ)します。


私は、水のバプテスマを受けた者が、神の子としての身分を受け、初穂となる要件を獲得するために、使徒によって聖霊に与らなければならないことを信じます。


私は、主が昇天されたのと同様に必ずまたおいでになり、主の来臨に希望を託し、そのために自らを整えてきた故人や存命者たちを、初穂として御許に引き寄せて下さることを信じます。また、天の婚礼が行われた後、主がその初穂と共に地上にまたおいでになり、平和の御国をお建てになることを信じます。そして、初穂たちが王の祭司として主と共に御国を治めることを信じます。平和の御国の終結後、主は最後の審判を下されます。そして神は新しい天と新しい地をお創りになり、御自分の民と共に、永遠に住まわれます。


私は、神による律法が犯されない限り、この世の権力に服従する義務を負うことを信じます。」

38 新使徒信条はどのようにして成立しましたか。


新使徒信条は、使徒たちによる聖書解釈と初代教会の信条文がもたらした成果です。


その内容や表現については、教義面の継続的発展や知識面の進化に伴って、現在の形になりました。


新使徒信条は、神の愛、恵み、万能性を包括的に言葉にすることが不可能であるという認識のもとで作られました。神の愛、恵み、万能性が、人の表現し得るいかなる言葉よりも優れていることについては、今後も変わらないでしょう。ですから新使徒信条が、他のキリスト教教派を救いから排除するような境目を生じさせることはありません。


救い: 問243→以降を参照

39 新使徒信条の持つ意義は何ですか。


十箇条から成る新使徒信条は、新使徒教会の教義を明文化し、信仰において新使徒教会員がとるべき姿勢を定めています。


さらに、新使徒信条によって、新使徒教会に属さない人々に、新使徒教会の信仰における最も大切な部分を理解していただくことができます。

40 新使徒信条はどのような構成になっていますか。


第一条から第三条までは、使徒信条とほぼ一致していて、三位一体の神を取り上げています。第四条と第五条は、使徒の働きについて述べています。第五条ではそれに加えて、使徒以外の教役者の働きについても述べています。第六条、第七条、第八条では、三つのサクラメントを解説しています。第九条は、未来への希望を主旨とした内容です(終末論)。第十条は、教会と国家権力との関係を扱っています。

『終末論』とは、「物事の終わりに関する教え」を意味します。これは、一人ひとりの未来(「個人的終末論」)、及び救済史の完結(「普遍的終末論」)に関わる教えであります。

41 第一条はどのような内容ですか。


第一条は、父なる神が創造者であることを述べています。

 

父なる神: 問37→, 67→以降を参照

42 第二条はどのような内容ですか。

 

第二条は、イエス・キリスト、すなわちキリスト教の基本とその宗旨について述べています。

 

 イエス・キリスト: 問37→, 93→以降を参照

43 第三条はどのような内容ですか。


第三条が告白していることは、聖霊すなわち神の第三位格への信仰、そして、教会、聖徒の交わり、さらなる救いへの信仰です。


聖霊: 問37→, 197→ 以降を参照

『聖徒の交わり』という表現を狭義に捉えれば、水と聖霊によって再び生まれ、イエス・キリストから遣わされた使徒によって主の日の備えを受け、花嫁としてキリストに受け入れていただくすべての信徒たちを意味します。この花嫁の交わりに属す者たちは、キリストが再臨される時になってはじめて明らかにされることになります。一方で、「聖徒の交わり」を広義に捉えるならば、キリストの教会に属すすべての人々を指します。つまり、イエス・キリストから提供されている救いを今すでに受け入れているすべての人々です。この場合「聖徒の交わり」に属す者たちは、新しい創造が完成した時に、明らかにされることになります。

44 第四条はどのような内容ですか。


第四条は、イエス・キリストが教会を統治されることと、それが使徒の派遣という形で行われていることを述べています。

 

 使徒:問37→, 421→, 453→ 以降を参照

45 第五条はどのような内容ですか。


第五条は、霊の職務に言及しています。


 職務: 問37→, 問411→以降を参照

46 第六条はどのような内容ですか。

 

第六条は、洗礼[水のバプテスマ]について述べています。

 洗礼: 問37→, 481→以降を参照

47 第七条はどのような内容ですか。


第七条は、聖餐について述べています。

 

聖餐:問37→, 494→以降を参照

48 第八条はどのような内容ですか。


第八条は、御霊の証印について述べています。


御霊の証印: 問37→, 515→以降を参照

49 第九条はどのような内容ですか。

 

第九条は、キリストの再臨と、それに続いて起こる出来事を述べています。


未来の事柄に関する教義、キリストの再臨: 問37→, 549→以降を参照

50 第十条はどのような内容ですか。


第十条は、キリスト教徒と国家との関係を取り上げています。


社会の一部としての新使徒教会: 問37→, 745→以降を参照