3.4.8.4 イエスの布教活動

イエスによる教えの中心は、現在から将来にわたって到来する神の御国 ― 歴史において明らかにされる神の統治 ― についてであった。「時は満ち、神の国は近づいた」(マコ1:15)。この時以降、神の御国はイエス・キリストを通して一人ひとりに認知されたのである(ルカ17:21)。

 

福音の根本は、イエス・キリストによって具体化された恵み、愛、和解である。神の御子であるイエス・キリストがおいでになった目的は、悪魔の業を滅し、罪に墜ちて身動きがとれなくなっている人類を贖い出し、悪魔の影響力から解放するためである。イエス・キリストは御自分が犠牲となられたことにより、人類のために、神と和解する道と永遠の命に至る門を開いて下さったのである。イエス・キリストは、御自分が死と悪魔に勝利した主であることを、死と復活を通してただ一度だけ証明された。人類はこの勝利を、信仰を通して共有することができるのである(一コリ15:57)。

 

イエスは弟子たちに御自分に従いなさいと言われた。イエスは力と権威とをもって宣べ伝え、罪をお赦しになった。そして、救いが御自身を通してもたらされたことを明らかにするために、奇跡を行われた。こうして、神による統治が近づいていることと、御自身が救い主であることを、教えを宣べ伝える中で強調されたのである。