7.4.3 ペトロ ― 初代使徒の頭

使徒たちの中で、主はペトロに特別な権限を授けられた。主が昇天された後、ペトロは使徒たちを指導する立場についたが、主の昇天前から彼がこのような役割を担 (にな) うことは暗示されていた。

  • ペトロは「岩」という別称をつけられ、鍵としての役割を与えられた。「わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる」(マタ16:18-19)。

  • 主が犠牲の死を遂げられるに先立ち、ペトロに対して、主は次のように言われた。「シモン、シモン、サタンはあなたがたを、小麦のようにふるいにかけることを神に願って聞き入れられた。しかし、わたしはあなたのために、信仰が無くならないように祈った。だから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい」(ルカ22:31-32)。

  • ペトロは十二人の使徒を代表して発言していた。多くの弟子がイエスから離れた後、あなたがたも離れて行きたいか、と主から問われた時に、ペトロは次のように返答している。「主よ、わたしたちはだれのところへ行きましょうか。あなたは永遠の命の言葉を持っておられます。あなたこそ神の聖者<生ける神の御子キリスト>であると、わたしたちは信じ、また知っています」(ヨハ6:68-69)。

  • ペトロはイエスから「わたしを愛しているか」と問いかけを受け、この問いかけにペトロは「はい」と答えた。この問答は三度繰り返され、三度ともパウロは、主を愛しているという返事をしている。そこで主は御自分の羊の世話をペトロにお委ねになったのである(ヨハ21:15-17)。
  • イスカリオテのユダに代わる新たな人物を使徒団に加えたのも、ペトロが最初である(使1:15-26)。さらにペトロはペンテコステの時に説教を行っている(使2:14)。そして主は、異邦人もキリストの救いに与 (あずか) れることを、ペトロにお示しになったのである(使10章)。