8.2.7 パンとぶどう酒の持つ意味

聖餐というサクラメントの構成要素であるパンとぶどう酒には、生活の糧 (かて) 、式の執行、それにイスラエルの人々が行っていた礼拝といった側面がある。

 

パンは一般的に生活の糧を象徴している。パンの食事とそれに関連した奇跡として旧新約聖書に書かれている記事は、神が人類を部分的にではなく ― つまり人類の体だけ、あるいは魂だけではなく ― 全面的に思いを寄せておられることを示している。イスラエルの人々が行っていた礼拝の中でも、パンとぶどう酒はモーセの律法によって重要な役割を担 (にな) っていた。すなわち、奉納するためのパン(「供えのパン」)を十二個用意して、至聖所の幕の前にある台座に供えたのである。安息日ごとに、そのパンを祭司らが食べ、新しいパンを供えたのである(出25:30)。

 

古代イスラエルでは、ぶどう酒も生活の必需品であり、祝祭で飲まれるものの一つだった。イスラエルでは、ぶどう酒は喜びと未来の救いを象徴するものでもあったのである(イザ55:1)。

まとめ

聖餐は人類に繰り返し施与 (せよ) されるサクラメントであり、礼拝の中核を成す行事である。 (8.2→)

 

聖餐は「ユーカリスト(感謝すること)」「主の晩餐」「パンを裂くこと」としても知られるものである。 (8.2.1→)

 

旧約聖書には聖餐に言及する記事がある。 (8.2.2→)

 

過越祭の食事も聖餐も、パンを必須とする記念の食事である。しかし過越祭の食事はイスラエルの人々がエジプト捕囚から解放されたことを記念するものであるのに対し、聖餐はそれよりはるかに包括的な意味での解放を表している。つまり、罪という奴隷である人類を贖い出すという意味を持つのである。 (8.2.4→)

 

イエス・キリストは過越祭に使徒たちと食事を共にされた。その中でイエスは聖餐を制定された。 (8.2.5→)

 

聖餐を執 (と) り行う根拠とイエスが聖餐を制定の宣言する際の御言葉を示す最古の記述が、コリントの信徒への手紙一11章にある。この箇所は、聖餐が制定された状況を再認識させる内容も含む。 (8.2.6→)

 

聖餐はパンとぶどう酒を用いて執り行われる。 (8.2.7→)

 

パンは生活を支える糧を象徴している。ぶどう酒も同様だが、その他に喜びと未来の救いの象徴でもある。 (8.2.7→)