8.2.1 聖餐に対する呼称について

キリストの体と血に関するこのサクラメントについては様々な呼称があり、それらの表現によって強調している点が異なっている。

  • 「聖餐」とはイエス・キリストが十字架の刑に処せられる前夜に使徒たちと交わりを持たれた中で制定されたサクラメントという、時間を軸とした表現である。

  • 聖餐を意味する英語の「ユーカリストEucharist」とはギリシア語で「感謝を捧げる」という意味の「ユーカリステインεὐχαριστεῖν」から来ている。イエス・キリストは、聖餐を制定する際に、神に感謝を捧げられた(ルカ22:19)。聖餐の感謝では、特にイエス・キリストが犠牲となられ、それによって徳を得られ、さらに贖いとなられ、清くなられたことについて、心を尽くして感謝することが信徒に求められている。

  • 「主の晩餐」とは、イエスが主であることと (3.4.6.2→参照) 、主の立場で聖餐を制定し執 (と) り行われたことに注目させるための表現である。​​​​​​​

  • 「パンを裂く」とは、過越祭の食事を指している。イエス・キリストはこの過越祭の食事をしている時に、聖餐を制定されたのである(マタ26:26)。パンを裂くというのがイエスを特定する特徴の一つであることは、エマオへ向かっていた二人の弟子が復活されたイエスに気付く過程の出来事からわかる(ルカ24:13-31)。初期のキリスト教徒は、食事の交わりのことを「パンを裂く」と言っていた。この食事の交わりを通して彼らの一致と交わりが表現されていたのである(使2:42,46)。