22. 8月 2023

新使徒教会が発足してから、女性執事は霊的職務を担っていたのでしょうか。この質問に答える前に、さらに二つの疑問を解決しなければなりません。一つ目に、彼女たちは叙任されたのかということ。二つ目に、彼女たちの任務は何だったのかということです。現在までの研究成果をお届けします。

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新使徒教会発足当初の80年間、女性執事は決して珍しくありませんでした。女性執事はヨーロッパ、アメリカ、アフリカで記録されており、地域によっては、教会の正式な教役者の6分の1を占めることもありました。

 

新使徒教会は、カトリック使徒教会から女性執事を受け継いでいました。そこでは、彼女たちが礼拝の典礼で役割を担うことは許可されませんでした。また、女性執事は使徒からでなく、監督から祝福を受けていました。しかし、新使徒教会ではこれが変わろうとしていたのです。

 

 

女性たちに仕えて

最初は何の変化もありませんでした。1864〔元治元〕年に制定された、新使徒教会初の典礼がそのことを証明しています。「女性執事には独自の職務がなく、女性への奉仕と配慮が必要な場合に、そこで教役者を補佐する。」

 

1908〔明治41〕年に牧司と教師向けに発行された最初の教科書『Hülfsbuch』にも同様のことが書かれています。「女性執事は、男性執事と執事補の職務を補佐するために必要に応じて任命される。女性執事の任職は主任からの特殊な嘱託による。女性執事は、特に独身女性や寡婦、また病人の女性の中で、男性が立ち入れない部分で奉仕する。」

 

 

祭壇で代理人を務める

実際、女性執事は長い間、礼拝において特定の任務を担っていました。「従って、教役保持者、会衆最高齢の男性執事、および会衆最高齢の女性執事が、任命によって、故人の代理として聖餐を受ける。」これは1898年にフリードリヒ・クレブス主使徒によって発表された統一規則でした。

 

女性執事も、代理として洗礼と御霊の証印を受けていたと思われます。というのも使徒学会は、1910年に「故人への聖餐とまったく同じ手順で、故人への御霊の証印を行うべきである」ことを決定していたからです。

 

女性執事が聖餐の執行を補佐することもありました。このことは、後に主使徒となるヨハン・ゴットフリート・ビショフが1929〔昭和3〕年に出版した教役者向け著書『Leitstern(「導きの星」)』の中で、次のように記録しています。「例えば、戦時中、ある会衆では教役者や兄弟が非常に少なかったので、聖餐の施与に女性執事が必要であった。」

 

 

使徒の祝福を受けて

初期の資料で、具体的な女性執事の任命について明らかにされているものは、ほとんどありません。現在知られている最も古い記録は1874〔明治7〕年のもので、エンクホイゼンの教会において「S.ステルク兄弟とステルク=ベザーン姉妹が男性執事と女性執事任命の祝福を受けた」との記述があります。このように、男女は平等に扱われたのです。

 

1897年12月、「すでに執事としての職務を委任されていた」三人の女性が「使徒による祝福」を受けた、とするハンブルク教会における任命に関する報告書は、注目に値します。カトリックの使徒教会とは異なり、女性執事は男性教役者と同じように聖職を受けたのです。

 

 

任命によって職務に就く

では、女性執事の任職は叙任によるものだったのでしょうか。女性執事が最も活動していた時期に用いられていたドイツ語では、「叙任」という言葉が使われなくなっていました。カルヴァン主義の影響を受けたオランダで生まれたこの「叙任」という言葉は、「任命」に取って代わられ、1970年代になってまた復活しました。一方、英語では 「叙任」という言葉が使われ続けました。

 

歴史学の博士号を持つ新教徒教会の歴史家マンフレッド・ヘンケは、この問題を詳しく調べ、次のように結論づけました。語用を研究した結果、新教徒教会では女性執事が叙任によって就任しているという結論に達した。」

 

 

反対よりも賛成

女性執事が教役者とみなされていたことを示すものは他にもあります。例えば1919〔大正8〕年、オランダには19人の女性執事に加えて24人の女性執事補がいました。ハインリッヒ・フランツ・シュラフォフ主使徒補佐は、1930年から1951年までの教役職叙任統計記録の中で、女性執事を男性執事補と男性執事の間に記載しています。

 

女性執事が教役者に「叙任」されていたということは、新使徒教会が歴史的に女性教役職に反対するよりも賛成する立場にあったことを明確にしています。しかし、教会設立以来、前半の80年間も後半の80年間も、女性教役職の正当性を示す根本的な教義上の根拠はありません。

 

 

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この記事は、新使徒教会の歴史に関する学術的な著作を編集中の教会史家マンフレッド・ヘンケによる、未発表の予備資料に基づいています。

原著: Andreas Rother

https://nac.today/en/157547/1186062→

nac.today: New Apostolic Church International

 

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