7.4.4 新約聖書における使徒の活動に関する記事
使徒たちの活動を、ルカが使徒言行録として記録している。例えば、使徒言行録11章1-18節及び15章1-29節では、使徒たちが集まって、異邦人が新約に与 (あずか) れるかどうかという問題 ― その他当時起こっていた諸問題も含め ― を解決したことが記録されている。これは、非常に大きな影響力を持つ決定が当時の使徒たちによってなされたことを明確に示している。
また使徒言行録は、聖霊の賜物を施 (ほどこ) す職務が使徒に限定されていることを証ししている。フィリポがサマリアに出かけて宣教し、そこで洗礼を授けた。そして使徒団はがこれを聞き、ペトロとヨハネをサマリアに派遣したのである。ペトロとヨハネは「聖霊を受けるようにとその人々のために祈った。人々は主イエスの名によって洗礼を受けていただけで、聖霊はまだだれの上にも降っていなかったからである。ペトロとヨハネが人々の上に手を置くと、彼らは聖霊を受けた」(使8:15-17)。19章6節には、使徒パウロも同様の働きをした、と書かれている。
使徒たちにとって最も必要な職務は、イエス・キリストの死と復活を宣べ伝えることであった(使13:26-41;17:1-4)。使徒たちは、異端の教えを信じていた人々と対立した。彼らはそもそも、イエスが真の人であり復活されたお方であることを、信じようとしなかったのである(一コリ15:3-8;一ヨハ4:1-6)。
当時の使徒たちは自分たちの存命中に主が再臨されると考えていて、そのための準備を信徒に施していた(一テサ4:14-18)。この事実は、使徒の職務とキリスト再臨の宣教とが密接に結びついていたことを表している。